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冊子印刷の世界には、少し特殊な印刷方法があります。それが「抜き刷り印刷」。主に論文や学術誌、学会誌などを執筆・発表される方々が利用するもので、一般的な印刷とは少し異なる目的と工程を持っています。

今回は「抜き刷り印刷とは何か?」という基本的な疑問から、どんな場面で使われるのか、どのように仕上がるのかまで、実際の印刷現場の視点からわかりやすく解説していきます。

抜き刷り印刷とは、論文や学術誌などの冊子から「特定の著者の部分だけ」を抜き出して、別個に印刷・製本する方法です。

たとえば、Aさん・Bさん・Cさんの3名の論文が掲載された学会誌があるとします。この中から、Bさんの論文だけを抜き出して印刷・製本する。それが「抜き刷り印刷」です。

このようにして仕上げた冊子は、著者が自身の研究成果を紹介するための資料として活用されます。学会での配布、研究機関への提出、就職活動時のポートフォリオなど、用途は多岐にわたります。

なお、同義語として

「別刷り印刷」・「別冊」

などの呼び方もありますが、いずれも意味合いはほぼ同じです。印刷業界では「抜き刷り」という言葉が通じない場合もあるため、依頼時には「論文の一部を抜粋して印刷したい」といった具体的な説明が有効です。

抜き刷り印刷は、以下のような冊子でよく使用されます。

論文集大学や研究機関が発行する論文集では、複数の研究者の成果が1冊にまとめられています。著者が自分の論文だけを配布したい場合に抜き刷りが活用されます。
紀要  教育機関や研究所が定期的に発行する報告書形式の冊子。内容は多岐にわたり、研究成果や活動報告などが含まれます。
学会誌学会が発行する専門誌で、最新の研究成果や論文が掲載されます。学会発表と連動して抜き刷りが求められることもあります。
抄録集学会やシンポジウムで発表される研究の要旨をまとめた冊子。抜き刷りによって、特定の発表内容だけを配布することが可能になります。

これらの冊子は、複数の著者による共同編集であることが多く、個別の論文だけを抜き出して配布したいというニーズが自然と生まれます。特に、研究者が自分の成果を他者に紹介する際には、抜き刷りが非常に便利な手段となります。

抜き刷り印刷には、いくつかの注意点があります。依頼前に確認しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

■著作権の確認

多くの場合、著者自身が発注者であれば問題ありませんが、第三者が営利目的で使用する場合は、著作権者の許可が必要です。たとえば、出版社が発行した学術誌から抜き刷りを行う場合、著者であっても契約内容によっては再印刷に制限があることがあります。無断使用は著作権侵害にあたる可能性があるため、事前に出版社や編集部に確認することが重要です。

■ページ番号の扱い

抜き刷りでは、元の冊子のページ番号をそのまま使用します。たとえば、P21〜P40の抜き刷りを行った場合、抜き刷り冊子の1ページ目が「P21」と表記されます。これは元の冊子の構成を尊重するためであり、ページ番号のリセットは行いません。読者にとっては、冊子の一部であることが明確になるメリットもあります。

■前後の著者の内容が混ざらないようにする

抜き刷りの際には、前後の著者の内容が混在しないように注意が必要です。論文の冒頭が奇数ページ(右ページ)から始まるように調整することで、他の著者の内容が入り込むのを防ぎます。場合によっては、空白ページを挿入して調整することもあります。

■表紙の扱い

抜き刷り冊子には、専用の表紙を付けることが一般的です。元原稿の表紙を活かす場合もありますが、「著者名を入れたい」「タイトルを変更したい」などの要望がある場合は、別途表紙データを作成する必要があります。表紙のデザインは、冊子の印象を左右する重要な要素ですので、用途に応じて柔軟に対応することが望まれます。

抜き刷り冊子の製本には、主に以下の2種類が使用されます。それぞれに特徴があり、用途や予算、納期に応じて選択されます。

◆無線綴じ(くるみ製本)

無線綴じは、冊子の背を糊で固める製本方式です。ページ数が多くても安定した仕上がりが得られ、保存性にも優れています。

特徴:

・2ページ単位で印刷可能

・ページ数が多くても問題なし

・中綴じよりやや高価で、納期も数日長くなる傾向あり

・背表紙がしっかりしているため、書棚に並べても見栄えが良い

研究成果を正式な形で残したい場合や、配布先が教育機関・研究機関などの場合には、無線綴じが適しています。

◆中綴じ(ホッチキス製本)

中綴じは、冊子の中央を針金で留める方式です。簡易的ながら見開きがしやすく、少部数・短納期に向いています。

特徴:

・4ページ単位で印刷

・安価で短納期に対応

・ページ数が多すぎると針金の強度や折り目の盛り上がりに注意が必要

・目安としては20ページ前後がおすすめ

学会での配布や、短期間での使用を目的とした冊子には、中綴じが適しています。

抜き刷り印刷は、通常の冊子印刷とは異なり、元の冊子から一部を抜粋するという特殊な工程が含まれます。そのため、印刷会社との事前の打ち合わせが非常に重要です。

特に注意すべきポイントは以下の通りです

元データの有無
元の冊子がPDFなどのデジタルデータで提供されている場合、スキャニング工程を省略できるため、納期短縮や画質向上につながります。反対に、紙媒体しかない場合は、解体・スキャンの工程が必須となり、時間とコストがやや増加します。

ページ構成の確認

抜き出すページが偶数・奇数で始まるかによって、製本時の構成が変わります。奇数ページ(右ページ)から始めることで、他の著者の内容が混在しないようにするのが一般的です。必要に応じて空白ページを挿入するなどの調整も行います。

表紙・奥付の有無

抜き刷り冊子に表紙を付けるかどうか、また奥付(発行日・著者名・所属など)を記載するかどうかも、事前に決めておくべきポイントです。特に学会提出用や公的機関への提出資料として使用する場合は、体裁が重要になります。

●納期の目安

通常、抜き刷り印刷は1週間〜2週間程度を目安に進行します。部数が多い場合や、特殊な加工(表紙の箔押し、角丸加工など)がある場合は、さらに数日かかることもあります。急ぎの案件では、事前に納期の相談をしておくことで、スムーズな進行が可能になります。

抜き刷り印刷に使用される用紙やサイズは、元の冊子の仕様に準じることが多いですが、用途や予算に応じて柔軟に選択することも可能です。

◆用紙の選び方

一般的には「上質紙70K」が使用されます。これはコピー用紙に近い厚みで、読みやすく、筆記性にも優れているため、学術資料として最適です。

その他の選択肢としては:

マットコート紙光沢を抑えた仕上がりで、落ち着いた印象を与えます。写真や図版が多い論文に適しています。
コート紙光沢があり、発色が良いため、カラー印刷に向いています。ただし、筆記性はやや劣ります。
再生紙     環境配慮型の印刷物として選ばれることもあります。エコロジーを意識した学会や教育機関で好まれる傾向があります。

用紙の厚みや質感は、冊子の印象を大きく左右します。配布先や使用目的に応じて、最適な用紙を選ぶことが大切です。

◆サイズの選び方

抜き刷り印刷において最も多く使用されるサイズは「B5判」です。これは学術誌や論文集で標準的に使われているサイズであり、読みやすさと携帯性のバランスが取れています。

その他のサイズとしては:

A4判    ビジネス文書や報告書に近いサイズで、図版や表が多い論文に適しています。
A5判コンパクトで持ち運びやすく、少部数の配布や個人利用に向いています。
変形サイズ特殊な用途やデザイン性を重視する場合に選ばれることがありますが、印刷コストや納期に影響するため注意が必要です。

サイズ選定は、製本方式や用紙との相性も考慮する必要があります。たとえば、中綴じ製本では厚みが出すぎると折り目が盛り上がるため、ページ数とサイズのバランスが重要です。

抜き刷り印刷は、論文や学術誌、学会誌など専門的な冊子で使用されるため、印刷会社でも「抜き刷り」という言葉自体に馴染みがない担当者も少なくありません。

実際に弊社へご相談いただいたお客様からは、

「ネット印刷を依頼しようとした際、用語が伝わらず困った」

という声もありました。これは、抜き刷り印刷が一般的な商業印刷とは異なるニッチな分野であることが背景にあります。

しかし、こうしたニーズは確実に存在しており、研究者や教育関係者にとっては欠かせない印刷手段です。弊社では、長年の経験とノウハウを活かし、こうした専門的な印刷にも柔軟に対応しています。

抜き刷り印刷は、単なる「一部抜粋の印刷」ではなく、著者の思いや研究成果を丁寧に届けるための手段です。ページ構成、製本、表紙、用紙選びなど、細部にこだわることで、より伝わる冊子に仕上げることができます。

もし「抜き刷りってどう頼めばいいの?」と迷われた際は、ぜひ一度ご相談ください。印刷のプロとして、わかりやすく、丁寧にご案内いたします。

レスキュープリントは岐阜県(岐阜市)と愛知県(名古屋市・一宮市)で合計3店舗を展開しています。東海地区のお客様に関しては店頭にて直接スタッフとご相談、打ち合わせが可能です。最寄りの店舗へお電話頂き、ご来店頂く日時をお伝えいただければスタッフが対応いたします。

もちろん発送による全国配送の対応も可能です。発送については基本的にヤマト運輸様での発送対応となります。



Profile:

福田 邦正 
数々の社内表彰を受ける、いま最も勢いがある社員の一人。ベテラン社員たちが尻込みする中、早々に会社公式X(旧Twitter)を立ち上げ、日々の更新を日課としている。中途採用組ながら、オンデマンド印刷や大型インクジェットプリントの知識だけでなく、創業からの社業である複写業務にも精通するオールラウンドプレーヤー。特にイベント関連ツール、移動販売の販促ツールの作成を得意とする。その豊富な知識と前職である金融機関勤務の経験を活かしたお客様対応力は社内屈指であり、顧客からの信頼も厚い。プライベートでは夜な夜な筋トレに精を出す2児のパパ。好きなプロテインの味はチョコレート。業務報告よりも筋トレ報告の方が多くなり、直属の上司を悩ませてしまうこともある。

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